『知の祭典』開幕
11月13日、中央大学総合政策学部において、学部公式研究発表イベントである「リサーチフェスタ2024」が開催された。リサーチフェスタとは、総合政策学部の学生たちがゼミで学び、研究したことを披露しあう発表会のことである。学生が自身の研究成果を個人またはゼミ単位で発表し、それについて審査員から講評を受けることで、発表者と聴衆が相互に新たな考え方を知り、視野を広げることを目的としていることから、「知の祭典」とも称される。2013年度から総合政策学部主催のもと開催され、今年で11周年を迎える。
今年度のリサーチフェスタは、昨年度とは異なり4教室同時進行で発表を行い、各教室で最も優秀だったチームそれぞれに最優秀賞が授与される。どの教室も多くの人でにぎわっており、ある発表の回では教室に人が入りきらないほどであった。
最優秀賞に選ばれたのは、音声コンテンツがリスナーの信頼や関与を高め、パーソナリティに対する親密感(パラソーシャル関係)を強化するか検証した『音声コンテンツはリスナーの信頼や関与を高めるか?―想像がパラソーシャル関係に与える効果—』(荒井ゼミ・11400教室)、「ストリートチルドレンに対するNGOの支援が、精神的自立の達成に貢献している」という仮説を元に、NGOの実施している支援はストリートチルドレンが路上生活から抜け出すのにどれほど貢献しているのかを明らかにした『ストリートチルドレンの精神的自立とNGOの支援―メトロマニラの事例から—』(FLP林ゼミ・11410教室)、ドイツ北部にて使用されているフリジア語が、標準ドイツ語の普及に伴い徐々にその話者が減る中、唯一フェール島という島においては話者の数が減っていないという事例に着目し、このフェール島でのフリジア語教育に関する取り組みを調査することで、少数言語を保護する方法を検討した『フリジア語保護活動から考えるマイノリティ言語保存への取り組み』(ヤンボールゼミ・11420教室)、プロスポーツ選手が引退後に抱えるキャリアトランジションへの社会的困難を探るとともに、セカンドキャリアを阻害する要因について考察した『プロスポーツ選手のセカンドキャリアについて~デュアルキャリアに向けた行動阻害要因の調査~』(FLP小林ゼミ・11430教室)の4組だ。
筆者は11400教室にフィーチャーし取材を行ったが、荒井ゼミの発表は、感情をテーマにした一見難解そうな内容であるにも関わらず、その分野に明るくない人間にも理解できるほど明確かつ論理的なストーリーラインに沿った発表であり、思わず食い入るように見てしまった。最優秀賞以外の発表も非常に興味深い内容であった。
このように、バラエティ豊かかつハイレベルな研究を見ることは、知的好奇心を刺激し、新たな視点を得ることに大いに役に立つだろう。来年度はぜひ総政を訪れ、「リサーチフェスタ」に参加してみることをおすすめしたい。
(原)
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